ナーサリーライムのひみつ

 みなさんこんにちは。
 バーチャルマーケット4のコンセプトワールド、ナーサリーライムのワールドメインモデラーをさせて頂きましたお休みさんと申します。

 去年の8月からの長い期間、 このワールドを形にするためにたくさんの方と一緒になって、アイデア出しからモデリング、ワールドギミック調整までさまざまな経験をさせていただきました。
 ワールドの根本はKaitanさんに描いていただいたコンセプトアートに立脚していますが、コンセプトアートに反映していただいた要素、コンセプトアートで提示して下さった要素や、その後のスタッフ間のやり取りで生まれた要素などを反映・発展しながら現在の形にまとまりました。
 作文は得意でないので、思いつくままに以下に書き並べていきたいと思います。


ワールドの基本方針

 あくまでブースを見てもらうためのワールドなので、以下の基本方針でワールドを設計しました。
◆途中でブースを見落とさない一本道のルート
◆進む過程で全てのブースが視界に入る
◆最後まで進みたくなるワールド
◆ブース配置場所は明るく、ブースがワールドに埋もれないように


アイデアたちと実装

◆スタートは子供部屋
屋根裏の子供部屋

かわいい部屋のテクスチャは主にAndyさん、おもちゃ類は主にlinsukeさんと一部私で作っています。屋根裏部屋がとっても温かみのある空間になっています。
以降の各エリアのテクスチャについても大部分をサブモデラーの皆さんや2D班の皆さんに協力頂き、とっても可愛いものにして頂きました。

◆本の中の世界に飛び込む
ここから
  イメージ通りの演出を実装できました。飛び込む際の演出ではキナママさん製作の全天球イラストや小物イラストが大活躍しています!
任意の向きを向いたプレイヤーを自然にテレポートさせるためにどうしても一旦画面を真っ白にしたかったのですが、単なる白フェードだと体験として不快なものになってしまいます。演出の初期から段階的に明るくしたり、完全に真っ白になるのはごく一瞬だけにしたりと、フェードの仕方にもこだわってみました。

◆目まぐるしく景色が移り変わるワールドにしたい
 こちらは不思議の国のアリスに影響を受けてのものですが、子供の想像が次々に移り変わるのをイメージした7つのエリアをつないだ構造にしました。
 エリアの構成や名称は、7つの大罪にもかけた形でKaitanさんに考案頂いたものがベースになっています。
 エリアを移るにつれ空も3種類に変化するのですが、いずれもClomeさんに可愛く綺麗な景色を作って頂きました。

◆序盤にワールドを見上げることで、多層的なワールドであることやスケール感を把握できるようにしたい
 
 バラのアーチ付近や切り株入り口前など、見上げると塔や先のエリアが少し見えるようにしています。
 特に塔については、高いところが見えたらそこまで行ってみたくなるかも、というランドマークの役目を果たすため、ほとんどのエリアで見えるようになっています。また、塔は常に下から見上げる格好になるため、上部をかなり大きく強調した形にしています。

◆この世界で生きものたちが自由に暮らしていてほしい
ピンクッションのハリネズミたち
サブモデラーさんの発想とモデリング、アニメーションでかわいいキャラクターがたくさん生まれ、ワールドを彩ってくれました!
キャラクターたちはプレイヤーと直接コミュニケーションする存在ではなく、夢の世界の一部としてここに暮らす住民たちというイメージです。

◆エリアの切り替わりを通してサイズ感を変える演出をしたい
◆エリアの切り替わりに連続性を持たせたい
アリおばさんのりんご屋さん
切り株でりんごが売られている→りんごが大きく見えてくる→りんごの家の中へ→鏡から出てきて大きな部屋のドレッサーの上へ、と連想した流れを表現してみました。
りんご→鏡は白雪姫に出てくるりんごから着想しています。

◆何かを見たときに関係ない何かを連想してしまったり、あるものがよく見ると別の何かでできていたり
◆子供部屋にあるものがワールド内に出てくる
トイピアノ駅

夢の中では形の似たものを連想したり、好きなものやよく見るものが現れるのではと考え、ワールド内の遊びの要素として時々登場させました。転がるりんごの中にボールがあったり、駅がトイピアノの形をしていたり、妖精の村の建物の中にドールハウスがあったり…。
ドールハウスの中の登れる階段はベータテスターさんの意見を受けて実現していたりします。

◆VR空間ならではの小技を効かせたい
 ワールド内ではVR空間ならではのいくつもの小技を使っています。詳しくは後述します。

◆めぐってきた世界を振り返る空間を作りたい
冒険の思い出
50mほどある塔の中にはこれまでの各エリアにあったものやキャラクター、おもちゃたちを浮かべ、巡ってきた夢の世界を振り返るような空間になっています。

◆ワールド全体が俯瞰できる場所を作りたい
◆最後は子供部屋に帰ってくる
周りを見下ろすことができる
  塔の物見台(二階)部分は夢と現実が混ざり合い、まもなく夢から覚めようとしている状況をイメージしています。
  本の中を夢見ていたことが分かるよう、壁を透明にして周りを見やすくしてみました。また、時計に触れることで目が覚め、もとの子供部屋に戻ることができます。


音楽について

 BGMは前回PPPでも担当されていましたAUAUAさん。
 目まぐるしく変わる景色を駆け巡るさまを多様な音楽で表現して、ワールドとともに夢の世界をつくることがAUAUAさんならできるに違いないとお願いさせて頂きました。
 出来上がった楽曲は皆さんに聞いていただいた通り、想像をはるかに超えたスケール感とバラエティに富んだもので、音楽の魔法でワールドの景色が見違えるように華やかになりました。
語彙力



夢から目覚めなくてもいいよ

 子供は決められたルートを辿るだけでもつまらないだろうと思い、目覚めることに抗って塔の窓から飛び出せば、ナーサリーライムの夜の景色を散策することもできるようにしておきました。塔から飛び降りなくてもテレポート機能で他のエリア(子供部屋以外)に移動してもOKです。
 ライティング等は変化しませんが、夜を背景にすることでワールドの景色はもちろん、出展ブースや商品の違った魅力にも気づくことができるかもしれません。
 私の告知ツイートで貼った写真の背景もこっそり夜になっています! 


ワールド内で使った小技たち

◆化粧台の小さな鏡から出てくる/鏡に入る演出
 鏡の道の形状自体は楕円形のトンネルなのですが、トンネルのモデルに対して平面の法線データを転写することで、一見平面の鏡に見えるようになっています。

◆化粧台の大きな部屋
部屋の全景
エリアのモデル自体は直方体の空間になっていて、真ん中に大きな鏡の枠と、鏡を挟んで化粧品類を対称に配置してあります。
ワールドとは別に巨大な部屋のモデルを制作し、その部屋の化粧台のある位置にリフレクションプローブを置くことで部屋の全天球画像を作成しました。この全天球画像を、鏡の手前側と奥側の壁に、左右反転させながらスカイボックス風に表示するシェーダにより表示させています。
また、りんご風の蝶を鏡に対称にアニメーションさせることで鏡らしさを演出しつつ、テクスチャには少しずつ違いをつけています(素敵なテクスチャを作って頂きました!)。

◆妖精の村入り口の海
空想した景色の外って…?
化粧台エリアを抜けるとトンネルから駅に出て、目の前に海が広がります。
この海はワールドの外に広がるものではなく、遠くに行くにつれてせり上がったお椀のような形状をしています。海の質感はテクスチャと法線マップで実現しています。
単純な仕組みですが、思い浮かんだ景色だけで完結した、夢の中の空間としてそれらしいものができたと思っています。

◆魔女の塔一階部分の天井
見た目と実体は一致しないものです
こちらは気づいた方は少ないかもしれません。
魔女の塔は一階部分、物見台部分のみが広くなっていて、その間は細い形をしています。ところが、塔一階部分から天井を見上げると、塔の内壁と中央の柱がどこまでも続いている高い空間に見えます。
これは塔一階部分の天井(円形の平面)に専用のシェーダを作成しており、塔の内壁と柱がどこまでも続き霧がかかっているかのような画を見せるようになっています。
シェーダならこんなことができるのでは、とももまさんに無理を言って作って頂いたものです。

◆塔を上昇する演出
常時発動している風属性魔法
塔中央の柱の内側に入って少し経つと体が浮き上がり、さらに待つと上昇が始まります。
この動きはプレイヤーごとに開始する(ローカル)ので、同時に入ってほぼ同時に上ることもできますし、タイミングをずらして入ることもできます。
この演出は最後の最後まで悩んでいたところでした。制作の途中段階までは鳥かご型のゴンドラが置いてあり、みんなが乗ったらボタンを押して上るなどの仕組みを用意していたのですが、どうしてもプレイヤー間の位置が同期せず、自分以外のプレイヤーが埋もれて見えてしまい見た目が悪かったのです。
また、誰か取り残されてしまった場合はゴンドラを呼ぶボタンを押し、戻ってくるのを待ってもらわなくてはいけない(何回でもちゃんと戻ってくるギミックも作らなくてはいけない)ということもあり、ここにも不安がありました。
最終的に「同期が難しいなら同期させなければいい」「ゴンドラに埋もれてしまうならゴンドラを見えなくすればいい」という発想に至り、各プレイヤーが風によって浮遊するかのような演出に落ち着きました。上昇中に見上げたり見下ろしたり、写真を撮ってもらったりしやすくもなり、却って良いものにできたと思います。


ありがとうございました

 他にもありますが、大変長くなってしまったのでここまでにします。
 モデルやテクスチャ、音楽、アイデアでワールドを美しく華やかにしてくださったスタッフの皆さん、素敵なブースを出展していただいた皆さん、そして見に来てくれた皆さんと一緒に、 はじめての本格的なワールドづくりを楽しく終えることができました。
 本当にありがとうございました🙌
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