ワールドエンド・ユートピア:制作後記

少年が、廃材の山に首を突っ込んでいる。
傍らにはロボット。

「ん~、めぼしいものはないなあ…あっちの山はどうかな?」
「バッテリー クライ デスカネ」
「しゃーないな、今日は諦めるか…」

そこに駆け寄るもう一人の陰。背の高い少年。

「おーい!おーい!大ニュース!!大ニュースだよー!」

少年、首を持ち上げて背の高い少年を見る。

「どうしたのっぽん。そんなに急いだらすっ転ぶぞ?」
「これがゆっくりしてられるか!バーチャルマーケット!来るんだよ!」
「バーチャルマーケット?」

のっぽん、身振り手振りも大げさに、少年とロボットの前で小躍りしながら。

「バッカ知らないのか?フィオだよ!空間興行師の!フィオが来るんだ!」

いまいち理解できない少年。ロボットの方を眺める。

「ロボすけ、バーチャルマーケットってなんだ?」
「エ-、ネン2カイ ヒラカレル オオキナ ”マツリ”デスネ」
「タクサン ノ ショウヒン ナド アリマス」

それを聞いた少年、目を輝かせる。

「要するに面白い事ってことか!?」
「バッカ!絶対面白い奴だよ!!!行くしかないだろう!?」

のっぽん、ひきちぎれそうなほど手足を振りまわしながら。

「で、どこでやるんだ?そのバーチャルマーケットってやつは」
「川向うの"塔"の周りで開催するってよ!」

それを聞いたロボすけ、顔を背けて聞こえないようなふりをする。
それに気が付いた少年。

「どうしたロボすけ、行きたくないのか?」
「アノトウ ニハ・・・」
「なんだ100年前の事を気にしてるの?オレ達には関係ないだろ?」
「デモ アノトウ デ ロボット ガ タクサン ニンゲン ヲ シナセタ」

のっぽん、ロボすけの前に回る。

「昔は昔、今は今だよロボすけ」
「そうだよロボすけ、一緒に行こうぜ!」

少年とのっぽん二人一緒に。

「「だって友達じゃねーか!」」

ロボすけ、顔をあげる。

「イインデスカ?」
「あったりめーだ!!いくぞー!」

少年、のっぽんに尋ねる。

「で、どうやって川向うにいくんだ?渡し船はおれらみたいな子供じゃ載せて貰えないだろ?」
「へへ~ん、準備はばっちりよ!オヤジから船を貸して貰えるんだ!最新式の外輪船だぜ!」

胸を貼るのっぽん、少年もロボすけも拍手で迎える。パチパチパチ。

「よーし!それじゃ準備して出発だー!」
「「「おー!」」」

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と、このようなサイドストーリーを考えて作っていました。コクリコです。
今回、Vケット4でワールドエンド・ユートピアのメインモデラーを務めさせて頂きました。
この記事では、それにまつわること等をつらつら書ければと思います。

どうやって依頼を受けたの?


ぼくはVRCワールド作成を趣味の1つとして2年近くやっていましたので、もともとバーチャルマーケットのワールド制作は夢の一つではありました。
Vケット3には出展もしていましたし、Vケットのワールド制作とは言わないまでも、何かお手伝いできないかな~とは考えてました。
そんな時、急にフィオっさんから「コクリコちゃん~(フィオっさんはいつもぼくの事をちゃん付けで呼ぶ)」DMが来ました。
なんぞ相談かと思ったら、いきなりワールド制作依頼でぶったまげましたね。うせやろ????

DMでのやり取り。


正直、その大変さは端から見てるだけでも察せましたし、ちょっと悩んだんですけども、でも、自分が好きなバーチャルの世界を広げる事のお役に立てるなら、自分の成長の為にも、面白そうだし、と色々理由を付けて飛び込みました。

「是非!やらせてください!」

この辺の話はエピトさんのハピバトスクールでも少し語っているので見て頂けると嬉しいです。(宣伝)

ハピバトスクール #017 VRの可能性をひろげる!
https://www.youtube.com/watch?v=_v9RmGYdYq8
かっこよくてスマートなエピト君が見られます。

制作はどんな流れだったの?


で。Vケットチームに参加したわけで、キックオフや参加条件のすり合わせなども無事終わり、実際のワールド制作に入る訳です。
素材として最初に有るのは、イメージを膨らませるためのフィオっさんが作ってくれた設定やストーリーテキスト、ラプトさん(神絵師)が描いてくれたイメージボード。
これらをもとにワールドの構造から考えるわけです。
ただ、モスおじがやるべき事を明確に教えてくれましたし、ヨッシャさんやるらさんなど、これまでのVケットメンバーの方々が色々とサポートしてくれたので、大きく迷うようなことは無かったです。

大きな流れとしては、まずはグレーボックス(と呼んでいました)状態で仮の仮状態みたいなワールド構造を決める為のワールドを作って、みんなでレビューして指摘点を列挙して、それを修正してグレーボックスを完成させて、その後、本番のワールド制作を始めるような流れでした。

各種のやるべき事には、それぞれ締め切りが明確に決められていたので、作業はしやすかったです。遅れそうなときは相談も出来ましたし(ほとんど遅れなかったけどね。えっへん)、計画が急に変わるようなことも無く、概ね自分の作業も予定を計画しながら進めることが出来ました。このあたり、Vケットのこれまでの経験と言うか苦労が活きてる部分なんだろうな~とか思いました。

あと、Vケットで思ったのは管理ツールのサポートが大きかったです。ぼくがワールド制作を担当した他のイベント(深秋音祭とかAWAKE)ではDiscordでのやり取りがメインだったんすけど、そう言ったコミュニケーションツール以外にもオフィススイーツや、Wiki系ツール、タスク管理ツールなど、ちょっとしたITベンチャー位の各種ツールを使っていました。
どれもそんなに使いこなすのは難しくなかったので、スムーズにその恩恵にあずかれたと思います。

苦労した点は?


ワールド制作で苦労した点ですが、まずはテクスチャですね。ぼくは絵師ではないので、この辺の懸念があること最初からフィオさんにも伝えてて、今回はいわゆるテクスチャマッピングソフトを使い始めました。
あと、それでも対応できなさそうな部分はモデリング計画をする中でサブモデラーさんにお願いしました。
こういった分業が出来るのは非常にありがたかったです。(サブモデラーのみなさんありがとう!)

一番苦労したのは描写負荷の部分です。Vケットの特性上、出来るだけ沢山の人(PCスペックに懸念がある人も含む)に出来るだけ奇麗なブースを見せる必要がある訳で、全ブースを視界に入れてしまうとFPSの低下、最悪PCのフリーズなども引き起こす可能性がある訳です。

その為、ワールドの構造を考えて、ブースをいかに見せるか&いかに隠すか?をいろいろと考えました。実は現在のワールドエンド・ユートピアの構造は2代目で、初代はもっとクレーターの様な構造をしていましたが、対岸のブースが見えてしまい、負荷面でこのまま進めると危ないと自分で判断して作りなおしていたりします。
結果的にコンパクトに、遺跡的な雰囲気も出せてよかったかな?と思っています。

当初のデザイン案。これも良かったんですけど、描写負荷がヤバい。


また、導線についてもレビューの中で「明確にわかりやすく」色々変更したり、案内を追加したり、コライダーをより迷いにくいように設定したり、と「初心者目線」にする事に労力を払いました。この辺りはモスおじのレビューがとても助かりました。

実際の所、ぼくはVRChatヘビーユーザーなので、なかなか初心者目線にするのは難しかったです。みなさんがワールドエンド・ユートピアを回っていて、もし物足りなさを感じたら、それは設計時に狙ったユーザ目線の違いによるものかも知れません。

ただ、全体としてはスタッフ陣がみなさんすこぶる優秀でしたし、ちゃんとコミュニケーションも取れましたので、全体的には大きく苦労したり非常に悩む、と言ったストレスのたまる事はありませんでした。まずはモスおじに頼れるし、ライティングはるらさん、ギミックはMOMOMAさん、プロジェクトとしての判断はフィオさん、と言った感じでした。

コンセプトワールド製作者同士、ヨッシャさん、お休みさん、二月さんとも色々話し合えたのも、苦労やノウハウを分かちあうって意味でも良かったです。

キナママさんに地図を描いて貰ってMOMOMAさんに作って頂いたテレポートギミック。すごい。

何を楽しんでほしい?


これは何よりも、まずは出展されたみなさんのブースです。本当にどれも素敵で、もちろん、凝ったブースからシンプルなブースまで色々ありますけど、それぞれ製作者の気持ちが感じられる素晴らしいブースになっているな、とワールドチェックで全部見させてもらいながら、感動していました。本当に。

そしてワールド面でいうと、とにかく音楽ですね。R.Tone、通称トネちゃんにコンポーザーをお願いしようと決めて、2人で色々とワールドを見ながら音楽を作って行きました。ハッキリ言ってこの音楽抜きではワールドエンド・ユートピアは完成とは言えなかったと思います。

音楽自体もメインのサウンドに環境音を重ねていて、この環境音はBGMループの中で少しずつずれながらメロディを補足するような、凝った形になっています(トネちゃんの発案です)。ですので、長く滞在しても本当に同じBGMを聴くことが無いように作られています。

是非、お友達と回るだけではなく、1人や少人数でも回ってもらって、その時は音量を問題のない範囲で大きめにして味わってもらえれば嬉しいです。

こことか展望台で聴くのがおすすめ。あとパイプが見えない所で水の落ちる音とか聴こえるとエモい。


そして、モデルとしては面影通りの奥にある部屋、通称フレーバールーム。ここにあるオブジェクトはワールド毎に異なったものが置いてあります。特に一部のモデルはワールドの中にも別の形で置かれていて、時間の経過を示しています。楽しんでみてください。

あと、写真撮影したいと思ってもらえるような絵作りをワールドの各所にやっています。最初の見上げる通路、花畑以外にもフレーバールームの入り口や大階段、見晴台等々ですね。もちろん、それらの場所以外でもみなさんがそれぞれお気に入りの風景・スポットを見つけて貰えればと思います。

ほかにも勢力毎のマークがそれぞれのオブジェクトについていたりなど、ストーリーを感じさせる仕組みもいくつか置いてあります。大きく分けると人間(United Human = UH)と機械(Machine Alliance = MA)に分かれています。

フレーバールームのモデルはワールド毎に異なります。是非チェックしてみてください。


また、ワールドエンドユートピアの終着点に展望台のPCの画面。これにはプログラムがわかる人なら楽しめる要素も入っていますので、ちょっと読んでもらえたら嬉しいです。イリリさん特製のコンソールスクリプトです。

この風景が作りたかった。

おわりに


Vケット4のワールド制作は非常に楽しく、そしてスキル成長の面でも大きな意味のある経験でした。なにより、ぼくの大好きなバーチャルの世界を多少でも広げる、皆さんにとっても意味のある、楽しい物を提供できるチャンスを貰えた、という意味でも参加できて非常に光栄でした。
是非、ワールドエンド・ユートピアをお友達と、そして一人でも訪れて貰えれば嬉しいです。

バーチャルマーケット4 ワールドエンド・ユートピアをお楽しみください!

ここまでお読み頂きありがとうございました。
2020/4/29 Coquelicotz/コクリコ
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